2012年8月1日水曜日

仮のまち―安心の青写真を早く

原発事故から避難している福島県浜通りの4町で、町外コミュニティー(仮のまち)をめぐる議論が本格化してきた。
 浪江町と大熊町は7月、町民アンケートの結果をまとめた。富岡町も調査中。双葉町は近く町民の声を聞く会議を始める。
 どこにいつごろ、どんな規模のまちを造るのか。大まかな構想を住民に早く示すべきだ。
 まず、なぜ仮のまちが要るのかと思う人もいるだろうか。
 原発事故の周辺の地域では、地元に住みつつ家や街をたてなおすわけにはいかない。
 仮設住宅の入居期間は3年。多少延長はあったとしても、地元に帰れる状態になるまで何年か腰を落ち着ける場所が要る。
 いずれ帰れるようになったとき、帰る人がいなくては故郷をたてなおせない。ある程度の人数がまとまって住み、町民のつながりを保てる場が要るのだ。
 ただ、あまり時間はかけられない。事故から1年5カ月近くがたち、先の見えない生活は心と体にじわじわ響いている。
 県の調べでは、住民の2割が気分の落ち込みや不安を抱える。酒が増えた。眠れなくて薬を飲んでいる。親の介護が必要になった。家族や近所がばらばらになって、つらい。仮設住宅を回るとそんな声を聞く。
 だれもが先の見通しをほしがっている。どの町でも「帰町まで待てる期間」はあと3~5年までとの答えが多い。早く落ち着きたい気持ちの表れだろう。
 時がたつにつれ、避難先で新しい生活が根を張る。あきらめが強くなる。大熊では「故郷には戻らない」という人が、1年で1割から4割に増えた。
 「戻らない」「仮のまちには行かない」と自分の意思で決めるならよいが、時間に強いられてあきらめる人を出してはならない。
 避難者は仮のまちをイメージできず、移住すべきか迷っている。浪江では過半数が「わからない」「判断がつかない」と答え、はっきり「住みたい」と答えた人は2割にとどまった。
 これまで仮のまちは、町まるごと他の市に引っ越す大規模ニュータウンのイメージで語られてきた。しかし、候補にあがった地域にはこれへの抵抗感がある。避難者2万人が暮らすいわき市で、道路や病院の混雑などがおきているからだ。
 ならば、集落単位などでコンパクトな「まち」をあちこちに造ってはどうだろう。地元にとけ込みやすいし、完成も早い。
 4町と受け入れ先の間に立つ国と県の役割は重い。避難者らを早く落ち着かせてあげたい。

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