2017年12月3日日曜日

(社説)シリア内戦 和平への機会を逃すな

 死者30万人超、難民500万超。国際人権団体によると、いまも毎日100人前後のペースで命が失われている。

 中東シリアの6年間におよぶ内戦を即刻、終わらせねばならない。国際社会の理性と良心が試される新局面である。

 国連主導の和平協議が先月末からスイスのジュネーブで始まった。昨年から断続的に7回開いて進展を見なかった協議を、改めて再開した。

 これまでとは状況も、そして期待値も違う。過激派組織「イスラム国」(IS)の力が衰えた。その掃討で協調した米国とロシアが、今回こそ内戦の解決をめざす確認をした。

 この機運を逃してはならない。流血の停止とシリアの再建へ向けた道筋を見いだすよう、米ロは中東各国と欧州諸国などとともに全力を注ぐべきだ。

 ISの退潮と並行して、シリア全土の激しい戦闘は収まりつつある。アサド政権が多くの地域を奪回し、政権、クルド勢力、反体制派による勢力図がほぼ固まってきた。

 ロシアがアサド政権を支え、米国が反体制派を支援する構図は変わらない。だが、「自国第一主義」を掲げるトランプ米政権は、もはやアサド政権の退陣を声高には求めていない。

 反体制派も、有力な支援国であるサウジアラビアの説得を受け入れ、各派を統一した代表団を和平協議に送った。トルコやイランが収拾に向けて動き始めたことも前向きな兆しだ。

 主導権をにぎるロシアの動きには、今後の影響力を広げようとする思惑も見える。アサド政権と反体制派を集めた「国民対話会議」を、国連の協議とは別に開こうとしている。

 何よりも優先すべきは、戦火の終結と、シリア国民の救済であることを忘れてはならない。国連主導の協議を本筋とし、すべての話しあいは、その補完として役立てるべきだろう。

 国連のデミストゥラ特使は声明で、「今こそ政治プロセスに集中する時だ」と強調した。難しい協議が予想されるが、粘り強い仲介を期待したい。

 言うまでもなく、新たな体制づくりの主役はシリア国民である。アサド政権には、これまでのような反体制派への弾圧を停止したうえで、和平協議を成功させる重責がある。

 いまもシリア国内の各地で膨大な人びとが食料や医薬品などの支援を待ちわびている。国際組織やNGOなどの緊急援助を急がねばならない。そうした人道支援や復興の局面で日本も積極的な役割を果たすべきだ。

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