2017年12月2日土曜日

ドイツ政治混迷 安定政権樹立がEUの公益だ

 ドイツで政治の混迷が長引けば、欧州連合(EU)の結束にも影を落としかねない。安定政権を早期に樹立することが求められる。

 メルケル首相の4期目の政権樹立が難航している。首相が率いる中道右派のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)は、9月の連邦議会(下院)選挙で第1党の座を維持したが、連立相手を確保できていない。

 政治の安定を特徴とするドイツでは異例の事態だ。単独過半数を得にくい選挙制度と、近年顕著になった多党化が背景にあろう。

 ドイツは、比例選が主体の「小選挙区比例代表併用制」を採る。これまでは、既成の大政党を中心に連立の組み合わせが無理なく決まったが、今回の選挙で政党地図が塗り変えられた。

 2大政党であるCDU・CSUと中道左派の社会民主党(SPD)が、そろって議席を減らした。「反難民」を掲げる右派政党が初めて議会に進出し、6党がひしめく状況になった。

 メルケル氏は、中道右派の自由民主党(FDP)、環境政党の「同盟90・緑の党」との3党連立を試みたが、協議は決裂した。

 難民の家族呼び寄せを容認する「緑の党」と、反対するFDPの対立を解消できなかった。主義主張が大きく隔たる3党の枠組みに無理があったのではないか。

 連立工作の失敗で、メルケル氏の求心力低下は明白になったと言えよう。残された現実的な連立相手は、SPDしかなくなった。

 シュタインマイヤー大統領は、政治空白の長期化と再選挙を回避するため、仲介に出た。

 SPDは、2013年からの大連立を解消する方針だった。連立政権内で独自色を出せなかったことが、9月の選挙での敗北につながったと、受け止めたからだ。大統領の仲介を受け、柔軟な対応に転じるかが焦点となる。

 懸念されるのは、メルケル氏が内政に足をとられ、EU内で指導力を発揮できなくなることだ。

 英国のEU離脱交渉を巡り、EUは今月中旬の首脳会議で、通商交渉に入るかどうかを判断する。重要な局面だ。英国に進出している日本など各国企業への打撃とならないよう、ドイツが主導権を発揮してもらいたい。

 マクロン仏大統領は、ユーロ圏共通予算の創設などのEU改革案を打ち出している。推進には、ドイツとの連携が不可欠だ。ドイツ政治のもたつきは、改革を困難にし、欧州の沈滞につながろう。

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