2017年12月4日月曜日

医師の偏在対策 都道府県の調整力が問われる

 地方の医師不足が深刻化している。地域医療を守るために、実効性ある是正策が求められる。

 厚生労働省の検討会が医師の偏在対策に関する論議を進めている。年内に報告書をまとめる。

 柱となるのは、都道府県の役割と権限の強化である。医療計画の一環として、医師確保の目標や具体策を盛り込んだ「医師確保計画」の策定を法制化する。

 確保計画に実効性を持たせるため、都道府県が大学医学部に「地元出身者枠」の設定・増員を要請する権限を設ける。臨床研修を行う病院の指定や定員の設定も、都道府県が担うようにする。

 大学医学部・病院からの医師派遣についても関与を強める。

 現行では、医療計画に医師確保策を記載する規定はあるものの、内容に具体性を欠く事例が多い。医師の確保・定着にとって重要な医師養成課程に関する都道府県の発言力が小さいなど、対策に限界があることも一因だろう。

 医療関係者の自主性に委ねた取り組みでは、是正されなかった。医療提供体制に責任を持つ都道府県の権限を強めて、一定の強制力を持たせる狙いは適切だ。

 都道府県別の10万人当たりの医師数は、最多の京都府と最少の埼玉県で2倍の開きがある。都道府県内の格差も数倍の地域が少なくない。地方では医療機関の縮小や閉鎖が目立つのが実情だ。

 政府は、医学部の定員増や地域医療の担い手を育てる「地域枠」設定を進めてきたが、地域間の偏在解消にはつながっていない。

 医師の4割は地方勤務の意思を持っている。20歳代では6割に上る。一方で、キャリア形成や労働環境に不安を抱く医師は多い。

 都道府県と大学医局が連携し、地方勤務を組み込んだキャリア形成プログラムを作る。休日の代替要員確保などで負担軽減を図る。不安払拭(ふっしょく)に知恵を絞りたい。

 報告書には、地方勤務を経験した医師の認定制度の導入も盛り込まれる方向だ。一部の病院長の就任要件にして、医師不足地域での勤務を後押しする目的がある。

 認定を就任要件とする医療機関の範囲が狭ければ、効果は限られよう。検討会では、診療所の開業要件にすべきだとの声もある。

 医師過剰地域の診療所開設を抑制する必要もある。厚労省は地域別の医療需給の情報を提供し、医師の適切な判断を促す方針だ。

 こうした是正策がうまく機能しなければ、より強制的な手法も検討課題となるだろう。

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