2017年12月5日火曜日

企業は物言う株主と正面から向き合え

 世界的にアクティビスト(物言う株主)と呼ばれる投資家が、企業への影響力を一段と強めている。年金基金などからの支持も得て、事業の構造改革や社外取締役の選任など様々な要求を企業に受け入れさせている。

 物言う株主は、日本市場では2000年代初めから本格的に活動を始めた。これまでは主に配当や自社株買いなどの利益還元を求めてきたが、今後は経営の中身に踏み込んだ提案も増えるとみられる。日本企業は様々な提案を出す投資家と正面から向き合い、株式市場に自社の考えを効果的に訴えなければならない。

 日本で物言う株主の存在感を改めて印象づけた最近の事例は、東芝の増資だ。債務超過による上場廃止を避けるために、5日払い込みで6000億円の資本を海外の投資家から調達する。

 これにより東芝の主要株主には多くの海外ファンドが顔を並べる。その中には、韓国サムスン電子の不透明なグループ経営を批判したことで知られるエリオット・マネジメントや、ソニーにリストラを求めたサード・ポイントなど、米国の有力アクティビストが含まれている。

 海外の物言う株主は金融緩和によるカネ余りを背景に巨大化し、運用の一部をアジアにふり向ける姿勢を強めた。東芝の増資引き受けはアジア投資拡大の一環とみることができる。

 米国では大手製造業のゼネラル・エレクトリック(GE)が、大手運用会社トライアン・ファンド・マネジメントからの役員受け入れの要求に応じた。物言う株主に出資する公的年金が役員選任などを支持することが増えたため、提案が通りやすくなっているという背景がある。

 役員受け入れのほか、組織の再編やブランド戦略など、株主からの提案は多様になってきた。企業に環境対策や社会貢献を求める「ESG投資」をかかげる物言う株主もあらわれた。

 日本企業の株主との対話は、目先の配当や自社株買いに集中する傾向があった。しかし、それだけでは様々な要求を出す海外ファンドへの対応として不十分だ。

 経営のためになると思われる意見に耳を傾け、企業価値の破壊につながりそうな提案には反論する。経営陣の姿勢をきちんと市場に伝える体制の構築が、企業には必要となる。

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