2017年12月3日日曜日

保育拡充で女性の就労意欲に応えよ

 政府は近く、「人づくり革命」の総合対策を閣議決定する。3~5歳児の幼児教育・保育の無償化を看板に掲げているが、最優先すべきは待機児童の解消だ。改めて見直しを強く求めたい。

 保育サービスの拡充は多様な人材の就労を後押しし、日本の経済成長を下支えする。働きながら産み育てやすい環境が整えば、出生率が上向く効果も期待できる。少子高齢化に直面する日本にとって待機児童解消は喫緊の課題だ。

 政府は2020年度末までに32万人分の保育サービスを増やす計画で、「人づくり革命」のなかに費用も盛り込む。ただ、その財源は企業が新たに拠出する3千億円に多くを頼っている。

 32万人は、利用申込者数などをもとに算出した数値で、潜在的な利用希望を十分に反映していないとの指摘もある。実際の需要がさらに膨らんだ場合に機動的に対応できなければ待機児童問題は解消しない。こうした状況で無償化に巨額の費用を割り当てるのは疑問といわざるをえない。

 まずは各自治体が住民の利用希望を丁寧にすくい上げ、実態に即した需要を把握することだろう。同じ自治体でも駅前か郊外かによって必要なサービスの量は異なるし、保護者の就労意欲も年々変わりうる。常に計画を見直し、サービスの整備や保護者への紹介につなげる体制を整える必要がある。

 個々に取り組むだけでなく、自治体間で連携することも大切だ。利用希望者の自治体の保育所には空きがなくても、隣の自治体に空きがあることもある。政府の規制改革推進会議は11月末、都道府県が中心となり、域内の自治体同士の連携などを促す協議会の設置を提言した。

 規模の大きな認可保育所にたよった整備では、限界があるのも明らかだ。認可、認可外にかかわらず、民間の力を生かして質の高い保育サービスを増やすことが欠かせない。

 ひとつのカギを握るのは、企業が自社の従業員用に設ける「企業主導型」の保育施設だ。認可外の施設だが、一定の基準を満たすと認可並みの助成が受けられる。自社の従業員だけでなく、地域の子どもを多く受け入れれば待機児童対策に効果は大きい。

 行政は監査などを通じて保育サービスの質を担保し、安心して子どもを預けられる施設を増やしていく取り組みも重要だ。

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