2017年12月4日月曜日

日本の製造業の信頼揺るがす品質不正

 日本の製造業が築いてきた製品への信頼が揺らいでいる。神戸製鋼所や日産自動車などで明らかになった品質管理の不正は、三菱マテリアルや東レの子会社にも広がった。問題の根にあるものを改めなければ信頼回復はない。

 神鋼など素材3社のグループでは、契約で定めた品質基準に満たない製品を、データを改ざんして出荷していた。基準に達しなくても顧客企業の了解があれば出荷する取引慣行があるが、同意を得ていなかった。日産自動車とSUBARU(スバル)は無資格者が完成車の検査に携わっていた。

 一連の不正に共通するのは、規範への厳格さの欠如である。製品データの改ざんは法令違反とはいえなくても、納入先の企業との約束を破った背信行為だ。

 三菱マテリアルの子会社は2月に不正を把握した後も、10月まで問題の製品の出荷を続けていた。東レも不正が発覚してから公表まで1年以上かかっている。

 納入先企業との間では内々に製品の安全性などを確認したとしても、一般の消費者への情報開示に後ろ向きな姿勢は問題だ。自動車の無資格検査も消費者軽視の表れといえないか。

 製造業は製品の使い手の要求にいかに応えるかを念頭に品質を高めてきた。納入先や消費者重視は基本である。土台から品質管理を立て直さなくてはならない。

 不正の原因究明は途上だが、弁護士による日産の報告書などからは、上層部が現場の実情を知ろうとしていなかった様子がわかる。

 日産の工場では品質保証部署の幹部が、検査工程の仕事内容や人繰りをつかんでいなかった。神鋼は現場の製造能力などの把握が不十分なまま受注に走っていた。現場に無理がかかりやすい構造が不正の土壌になったといえる。

 経営陣・幹部と現場が一体となり、問題や改善点があれば迅速に対応する機動的な組織にする必要がある。経営トップの責務だ。

 品質基準を漫然と同じままにするのでなく、安全性を確認のうえ柔軟に見直す余地もあるだろう。

 車の検査をめぐっては、組み立ての各工程で不具合の検知が進んだため、完成車の検査が形式的になっているとの指摘もある。新しい検査方法のアイデアなど現場からの提案を吸い上げるためにも、組織の風通しの良さが求められる。完成車検査のあり方を、実態に合わせて見直すことも課題だ。

時事問題

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