2017年12月1日金曜日

(社説)相撲協会 厳しい視線を自覚せよ

 大相撲の横綱日馬富士が、同じモンゴル出身力士貴ノ岩への暴行を認めて引退届を出した。

 問題の発覚から2週間。浮き彫りになったのは、一般社会の常識・感覚から遠い角界の体質であり、日本相撲協会のガバナンス能力の欠如だ。

 会見で日馬富士は、暴力をふるった理由として「後輩の礼儀と礼節がなっていない時に、それをただすのは先輩の義務」と述べた。目的が正しければ力の行使も許される。そんな考えが見え隠れする応答だった。

 親方らによる暴行で弟子が死亡する事件が起きたのは07年のことだ。以来、相撲界は暴力根絶を掲げてきたが、実態は改まっていない証しではないか。

 再発を防ぐには、今回、どんな経緯で、何が起きたのかを、協会としてしっかり把握する必要がある。だが、警察の捜査の邪魔になってはいけないという事情があるにしても、解明の動きは驚くほど鈍い。

 協会が貴ノ岩から事情を聴こうとすると、師匠の貴乃花親方が納得できる説明のないまま要請を拒んだ。首をかしげる行動である。そもそも同親方をめぐっては、理事・巡業部長の要職にあり、かつ暴行事件を早くから知りながら、協会への報告を怠るなど適切な対応をとらなかった疑いが浮かんでいる。

 この「造反」に協会は手をこまぬき、きのう開かれた理事会でも、元検事をトップとする危機管理委員会から「中間報告」がされるにとどまった。

 深刻な状況と言うほかない。暴力体質がぬぐえていないのとはまた別の次元で、協会のあり方に厳しい視線が注がれる。

 相撲界は、暴行死事件の後も力士による薬物事件、野球賭博への関与、八百長問題などが相次いで表面化し、11年には外部有識者でつくる委員会が、協会に組織の改革を答申した。

 一部は実行されたが、例えば理事の約半数を外部から登用すべきだという案は葬られ、構成はいまも「力士出身10人、外部3人」と内向きなままだ。億単位の金で売買され、弊害の源とされた年寄名跡の改革も、中途半端に終わっている。

 3年前、税制優遇措置の対象となる公益法人に認定された際には、内閣府の担当者から「これから不祥事が起きた時、きちんと対応できるかが大切」と注文を付けられた。いままさに、当時の懸念が現実のものとなっていることを、理事長をはじめとする幹部は、真摯(しんし)に受けとめなければならない。

 横綱の品格うんぬんを超え、協会そのものが問われている。

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